【インタビュー】「第44回北海道バルーンフェスティバル」に「上士幌ガールズバルーンクラブ」が初エントリー 立役者に志半ばに旅たった町役場の上司が...
北海道上士幌町の上士幌航空公園で8月11日〜13日行われた「第44回北海道バルーンフェスティバル」で、北海道初の女性だけの熱気球チーム「上士幌ガールズバルーンクラブ」が初めて大会参加、新気球「りぼんちゃん」がデビューしました。
"熱気球のまち"北海道上士幌町に誕生した全国的にも珍しい女性だけの熱気球チーム「上士幌ガールズバルーンクラブ」の構想が立ち上がったのは2013年。上士幌町で生まれ育ったこのチーム代表、早坂彩さんの職場である上士幌町役場の当時の上司、関克身さんから「ガールズチームを作ってみないか」と言われたことから。
競技飛行が行われる大会としては佐賀よりも長い歴史がある上士幌。しかし昔に比べると、このまちの熱気球大会の規模の縮小、企業スポンサーの減少、チーム数、競技人口の減少しており、過去には10チーム近くあった地元のクラブチームも今では半数近くになり、活動している人の高齢化も進んでいるといいます。
関さんは誰よりも上士幌の熱気球の未来を気にかけていたといいます。そんな関さんから声をかけられた早坂さんが改めて小さい頃の上士幌のバルーンフェスティバルの写真を見たとき、当時のお祭りや商店街、イベントの賑わっていた頃を思い出したそうです。地元の先輩が苦労して作り上げてきた「上士幌の熱気球」の歴史が途絶えるは寂しい。でも、早坂さんは「私なんかが...」と思って関さんから話を聞いていましたが、早坂さんは関さんの指導で、夏と冬の上士幌の熱気球大会の運営など様々な仕事を共にするうち、「私にでもできることがあれば」と思うようになったそうです。
上士幌町の事業として、本格的に熱気球に関わる人材育成動き始めた矢先の2016年2月2日、前年の10月から体調を崩し入院していた関さんは、空よりも高いところへ旅立たれました。50歳でした。
チームの立ち上げを目指しパイロットになる決意をし、動き始めたばかりの時に心の支えを失った早坂さんは、関さんから「彩ちゃん、ガールズチーム作らないか」と言われたことを思い出し、一気に不安を抱えてしまいました。
不安を感じながらチームづくりを模索していたところ、関さんのご家族からの励ましの言葉と一緒に、奥さまからの手紙、お守り、関さんの「ロックライター」を頂き、何度も何度も救われ、何度も何度も励まされながら、信頼できるメンバーとの出会いの風が吹いてきました。そして、「あの日」から1年後の2017年2月2日、「上士幌ガールズバルーンチーム」を結成、関さんに報告しました。
チームメンバーとして集まったのは、早坂さんに加え、瀬戸 千尋さん、鈴木 香さん、大道 あゆ美さん、乾 杏也香さんの5人。女性は職種も年齢も全員バラバラ。それには理由があります。
「彩ちゃん、役場だけじゃだめなんだよ。」
上士幌町の熱気球人材育成事業とはいってもガールズチームメンバーが役場の人だけだと、町のためにならないと関さんが早坂さんにかけたアドバイスの1つ。早坂さんはこの「思い」に共感してくれる町内の女性を2年間かけてゆっくり集まってもらいました。
そんなガールズチームに気球を寄贈する人が。上士幌町内の建材会社の会長、田中慶治会長です。1967年に創業、上士幌の熱気球大会会場の「航空公園」から3kmほどのところに事務所を構え、熱気球のまちを見守っていたおひとり。今年50周年を迎えた会社からこの町への恩返しと「このガールズチームを通じてまちに元気を与えてほしい」そんな思いを込めて、熱気球機材購入費600万円を寄付。人と人との結びをイメージした大きなハート形のリボンが特徴の気球「りぼんちゃん」が誕生、8月の北海道バルーンフェスティバルでデビューしました。
早坂さんは「私たちのクラブチームにはまだまだ知識も経験も足りない。熱気球の歴史が40年以上ある上士幌。経験と知識豊富な大先輩方がたくさんいます。このまちの熱気球と空を支えてくれている農家さんもたくさんいらっしゃいます。こんなにも恵まれている環境でなければ実現できないことばかりです。まだまだ新米パイロット、新米クルーのチームですが、女性らしさを生かした活動、『上士幌』や『熱気球』を知るきっかけ作りをしたい。チームを作るきっかけを頂いた関さんと気球を寄贈頂いた田中会長にお返しの気持ちも込めて活動を続けたい」と意欲を話しました。
チーム概要
チーム名
上士幌ガールズバルーンクラブ
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メンバー(2017年8月22日現在)
- 早坂 彩さん(代表)
- 瀬戸 千尋さん
- 鈴木 香さん
- 大道 あゆ美さん
- 乾 杏也香さん
写真提供
岩崎 量示 様
上士幌町 様